投資コラム

稲さんのよもやま話【25】 おいしい株主優待は要注意!

少し前の話になりますが、私の持ち株のひとつ(3559)ピーバンドットコムから株主優待廃止のお知らせがありました。試作用のプリント基板の製造受託を行っている会社です。創業2002年で2017年の3月にマザーズ市場に上場。2年後の2019年の12月には東証一部に昇格。急速に成長を遂げています。事業内容がユニークなことに加え、3月末時点で100株保有していると3000円分のクオカードが株主優待品としていただけるということで魅力的だなと思って買っていました。

私の購入株価は1002円。約10万円の投資で毎年3000円のクオカードがもらえるならなかなかの高利回り・・・のはずだったのですが。この株主優待は2019年に導入されたばかりで、実施されたのは結局2020年3月に株式を100株以上持っていた株主に配布された一回限りとなりました。

2020年は会社の業績が悪くて株主優待を改悪したり廃止したりした企業も多かったのですが、この会社は業績がそれほど悪いというわけでもありません。

こういう場合新興企業でありがちなのは、東証一部に昇格する条件を満たすために、気前のよい株主優待を実施するというパターンがあります。マザーズや東証二部に所属する会社が東証一部に昇格するためには株主数や時価総額(株価×発行株式数)が一定以上でなければならないという条件があるのです。

株主優待目当てで新規に購入してくれる個人投資家を集めて株主数を増やしたり株主優待の人気で株価を上げて時価総額を上げたりするというわけです。

最初からそういう目的だった場合、東証一部に昇格してしまえば、もういいやと言わんばかりに優待を廃止してしまう企業があるのです。廃止によって優待品がもらえなくなって悲しいのはもちろんですが、それだけではなく株価も下がってしまいますから保有していた株主からは不満爆発です。しかしもともと株主優待は、必ず株主に毎年提供しなくてはならないなどという規約があるものでもなんでもなく、会社からのプレゼントのようなものですから文句のいいようもありません。

私たちにできることは、株を買う時に気前の良すぎる株主優待には何かあるのではないかと注意することぐらいですね。と、言いつつそういうパターンがあることを知りながら、買ってしまう私の学習能力のなさは一体・・・。

ついでに付け加えるとクオカードの株主優待はあっさり廃止されやすいです。自社の製品を送ってきてくれる食品メーカーのようなところは比較的優待廃止にはなりにくいと思います。(業績が著しく悪くなった場合は別ですが)

クオカードの株主優待をくれる会社で一風変わっているのは(8052)椿本興業。この会社創業80周年の年に「今年だけの記念優待です」と言って3000円のクオカードを送ってきてくれたのですが、なぜか81周年の次の年にも「今年だけ」と言って送ってきてくれました。そしてその翌年も・・・。

しかも年末には特に予告もなしにビジネスダイアリーを送ってきてくれたりもします。なんだこの株主優待ないない詐欺!いや、詐欺は失礼ですね(笑)。ずっと継続するかのように株主優待の新規導入を発表しておきながら1年であっさり止めてしまう会社には見習ってほしいものです。