投資コラム

稲さんのよもやま話【20】ノルウェー政府は日本の大株主?

株式投資をしているのは個人の投資家だけではありません。まとまったお金を保有している組織は、そのお金をただ眠らせておくということはせず、多くの場合様々な方法で運用します。その一部が株式投資に使われる場合もあります。組織は会社の場合もありますし、政府が国民から年金や保険などのために集めたお金を運用するような場合もあります。そして日本の株式は日本の会社や政府が買っているだけではありません。

他の国の年金のお金が日本の株式に投資されることもあります。政府が巨額なお金を運用するような場合は、リスクをできるだけ分散するために幅広い投資先で運用されます。

そんな中でも知っておきたいものに「ノルウェー政府年金基金」があります。豊富な石油資源を財源として運用額全体が100兆円を越える巨額な投資が行われていて、日本株も7兆5千億円ほど買われています。保有している銘柄数も1500以上にのぼります。日本の全上場企業は3800社ほどですからノルウェー政府は日本の約4割の上場企業の株主ということになります。

そしてさらに注目すべきはその投資内容が公開されているということです。ノルウェー政府年金基金のホームページにアクセスすれば、どの会社の株をどれだけ保有しているかがわかります。https://www.nbim.no/en/

アルファベットの表記順で証券コードもふられていませんので、全体を概観するのは簡単ではないと思いますが、自分が買おうと思った銘柄をノルウェー年金基金が保有しているかどうか、どれぐらい保有しているのかを調べることは簡単にできます。

ノルウェー政府年金基金は大変調査力にすぐれ、長期保有に適した優良企業を厳選していると言われています。つまりノルウェー政府年金基金が保有している銘柄だということは、日本の上場企業の中でも上位4割に入る優良企業だというお墨付きをもらったようなものなのです。

何しろ全上場企業の4割も持っているので、誰でも名前を知っているような有名企業はたいてい入っているのですが、これから自分が買おうと思っている銘柄が保有対象になっているのか、どれぐらい保有されているのかは、買う前に一度調べてみるのも参考になると思います。

私は自分の保有銘柄がノルウェー政府年金基金の保有銘柄かどうかすべてチェックしてみました。今公開されているのは2019年のデータなので、今年上場したばかりの企業はもちろん入っていませんが、意外な企業が入っていたり、その逆もあり、興味深かったです。持株が保有銘柄になっていると合格証をもらったようでちょっと嬉しくもなりました。