原油価格が高騰しています。コロナ禍では飛行機が飛ばないなど需要が大幅に減って原油が余り、なんと原油の先物価格がマイナスになるという聞いたこともない現象が起こりましたが、世界で需要が回復してきたのに供給量がむしろ減っているのです。8月末には石油関連施設が集中するアメリカ南部がハリケーンの被害にあったり、OPEC(石油輸出国機構)が11月の増産を見送ったりしたことなどが原因です。
原油が上ればまず単純に自動車のガソリン代が上がることは想像できますし、実際上がっていますがそれだけではありません。原油はプラスチック製品の原料にもなりますし、あらゆる製品を作る工場を動かす燃料としても使われます。ですから幅広いものの値上がりにもつながるでしょう。家計には厳しい冬になりそうですね。
ただ株式市場ではすべての銘柄に悪い影響があるわけではなく、原油高がメリットになる銘柄もあります。中でも注目されているのは(1605)INPEXのような採掘に関わっている企業。その他にも(5002)昭和シェル石油、(5007)コスモ石油、(5012)東燃ゼネラル石油、(5019)出光興産、(5020)ENEOSなど石油関連の会社が影響を受けそうです。
とはいえ原油価格の高騰はこの先長い年月続くのかというとそういうわけでもありません。今すでに石油関連の株を持っている人はしばらく恩恵があるかもしれませんが、もうすでに上がってきているものを今から買っても原油価格が落ち着いてきたら、これらの銘柄の株価も下がってきてしまう可能性は大きいでしょう。
身の回り品の値上げと持ち株の下落のダブルパンチを受けないように気をつけたいですね。