投資コラム

稲さんのよもやま話【67】 恒大ショックってどういうこと?

「恒大集団」というあまり聞いたことのない中国の会社のことがニュースになっていますね。株式市場にも影響を与えています。一体何が起こったのでしょうか?

恒大集団は中国の大企業です。不動産をメインの事業にしていますが、他にも電気自動車事業に参入したり、サッカーチームを保有したりいます。その会社が債務不履行を起こしたのです。

債務不履行というのは契約していたことが果たせないということです。今回の場合で言えば、返す約束になっていたお金を期日までに返せなくなったということです。その規模が30兆円ととても大きいので問題になっています。

なぜ、そのようなことが起こったのでしょうか?実は恒大集団がひどい経営をしていたダメな会社だったわけではありません。会社にとってお金を借りて経営を行うというのは普通のことです。特に不動産会社は大きな額の資金の借り入れが必要です。恒大集団は黒字経営をしている企業でした。

ところが中国政府が突然国の金融関係の規則を変更して、そのために恒大集団は運転資金の調達ができなくなってしまったのです。

2008年に起きたリーマンショックと比較する人もいます。リーマン・ブラザーズというアメリカの投資銀行が経営破綻したことから世界規模の金融危機が起こったのです。

しかし今回は原因も違いますし、もしこのまま恒大集団が倒産したとしても中国国内の問題に収まりそうです。数か月後には冬季北京オリンピックも控えた中国が、この時期に世界規模の金融危機を促すような事件を自ら起こすこともないような気もします。今回の恒大集団に不利な法律変更は、中国ですでに起こっている不動産バブルへの対策とも言われています。

規模が大きいだけに今後の動向も目は離せませんが、日本市場への影響が少ないことを祈ります。