投資コラム

稲さんのよもやま話【65】 下手なナンピン、スカンピン

株式投資をしていると「ナンピン買い」という言葉をよく耳にします。「ナンピン買い」とは株価が買った値段より下がった場合、同じ株を買い増しして平均購入単価を引き下げる方法です。一見合理的でよい方法のように思えるかもしれませんが、初心者がやりがちで、どちらかというと「やってはいけない行為」と言われています。戒めるために「下手なナンピン、スカンピン」とも言われます。

今書きながらスカンピンって何?と思って調べてみたら漢字で書くと「素寒貧」。「貧乏で何も持たないこと。まったく金がないこと。また、そういう人や、そのさま。」(出典:デジタル大辞泉 小学館)だそうです。おお、初めて知った。下手なナンピンをすると一文無しの貧乏になりかねないということですね。ちなみにナンピンのほうは漢字で書くと「難平」です。

でも、難を平にするナンピンがなぜ、素寒貧なのでしょうか?

それは、業績が良くなくてずっと下がり続けているような悪い株の量を増やして、持ち株の中でそういうよくない株の比率が増えてしまうからです。むしろ、上がっている株を買い足すべきなのです。でも人間なかなか買った時より上がっているものを買い足すということはできないのですよね。買った価格の二倍とか三倍になるというのを目標にしていれば、買い足すとその目標が遠のくということもありますから、ますます買い足しにくくなります。一方買った時より下がっているものは買いたくなってしまうのです。安易なナンピンは要注意です。

ただ、すべてのナンピンがよくないとも思いません。最初から500株ぐらい持つ予定の株を最初に100株だけ買ってみて、下がったところで買い足すということは私もやります。いつが一番安いかなんてそもそもわかりませんし、買った株が一度も買値を割らずに上がり続けることのほうが少ないものです。そして100株だけでも保有していれば日々値動きを追うようになります。自分の買値を基準に「安くなったな」と実感することもできるので買い足しやすくなります。また何かの理由で株価が一時的に大きく下がり、近い将来高い確率でまた戻すだろうと思う時に、ナンピン買いして購入単価を下げ、思惑通り株価が上ったら、買い足した分の株数を売って元に戻すこともあります。(思惑が外れたら下手なナンピン、素寒貧ですが・・・)慣れればナンピンも使いようです。

自然な気持ちに逆らわなくてはいけないというのはなかなか大変なことですが、そういう気持ちの自分なりのコントロール方法を身につけることも株式投資の上達には必要ですね。