投資コラム

稲さんのよもやま話【54】 端株のTOBは要注意!

株は通常100株を1単元として売買されますが、今は1株でも売買できる便利なサービスを多くの証券会社が提供しています。指値という売買価格を指定する取引ができないというデメリットはありますが、株価の高い銘柄でも気軽に買えるうれしいサービスです。

私もいくつもの銘柄をマネックス証券と、SBIネオモバイル証券で単元以下の株数で保有しています。とても便利に使っていてありがたいのですが、最近困ったことが起きました。

単元未満の端株で持っている会社がある会社に完全子会社化されることになり、株が公開買付け(TOB)されることになったのです。そしてTOBが決まれば、単元未満株では売買できなくなってしまうのです。この場合株を保有している人は、TOBの公開買い付け代理人になっている証券会社に株を移し替え、そこでTOBに応じることになります。その証券会社に自分の口座がなければ、新たに開設することになります。それは大変なので、手数料を払えば、現在保有している証券会社経由で買い取ってもらえる仕組みもあるのですが、いずれにしても書類を郵送で取り寄せて手続きする必要があり、なかなか手間がかかります。最近はなんでもオンラインの手続きですむようになっているので、なおさらですね。

単元株で持っていてもTOBに応じる場合はそれ相応の手続きが必要ですが、TOBの買取価格が公表された時点で株価はほぼその価格に近いところまで上昇します。その価格で買ってもらえることが約束されているからです。なので手続きが面倒ならTOBが実施される前に、単元株なら市場で普通に売ってしまうことができるのです。

そんなにたびたび起こることではありませんが、そういうものだということは一応覚えておいて、端株で買った株も機会があれば少しずつ買い増して単元株にしていくように心がけるといいかもしれません。単元株になれば、売る時も指値ができて売りやすくなるということもあります。

ちなみに私が持っていた株は平均取得価格が616円。41株持っていましたが、数万円で単元株にできるので、早く単元株にしておけばよかったと思いました。たくさん銘柄を保有していると、ついついほったらかしにするものが増えてしまいますね。

TOBの買い取り価格は1380円で買値の倍以上。公表された日にはストップ高になりましたので、TOB自体は私にとって悪いニュースではありませんでした。手間と手数料はかかりますが、これも経験ですし、手数料を払って買い取ってもらう手続きをお願いしようと思います。