投資コラム

稲さんのよもやま話【41】 株主優待券偽造問題

持株の(3038)神戸物産から株主優待内容変更のお知らせがありました。神戸物産は「業務スーパー」という近年人気急上昇の量販店を展開している会社です。今までは100株保有している株主には「業務スーパー」で使える商品券を1000円分くれたのですが、今年から1000円分のJCBギフトカードになるそうです。

会社としては、自分のお店でしか使えないオリジナルの優待券を発行した方が、もらった人は必ずお店で買い物してくれるし、印刷代を差し引いても原価は安くつきます。それなのに、なぜこのような変更を行ったのでしょうか?

その背景には株主優待券の偽造問題があります。実際に今年この神戸物産の株主優待券の偽造品が見つかったのです。他にも同様の被害にあっている会社はあるようですが、偽造した株主優待券がメルカリなどのフリマアプリに出回っていたようです。

たしかにいろいろな会社が発行している株主優待券は、ニセ札を作ろうと思っているような悪い人たちから見れば、いとも簡単に偽造できそうなシンプルな印刷物が多いのでしょう。それをメルカリなどの匿名で売買できるシステムで売りさばいてしまえば簡単に儲けられそうですね。

こんな事件があると、株主優待券の電子化がますます進みそうです。最近は株主優待を紙の優待券やクオカードから「プレミアム優待倶楽部」というシステムに移行している会社が増えています。会社が株主にパスワードを発行し、株主は「プレミアム優待倶楽部」のサイトにログインしてインターネット上のカタログから商品を選べます。この「プレミアム優待俱楽部」は(4482)ウィルズという会社が運営しています。

(4449)ギフティのように電子チケットを発行している会社もあります。スターバックスのeギフトは、この会社のシステムを利用しています。そのうち株主優待にも利用されるようになるかもしれません。金券類は紙からプラスチックカードに、そしてその次は電子化されていくという流れが顕著になってきましたね。そういえば、街での普通の買い物もスマホのQRコード決済で済ませることが増え、最近は現金を使う機会がめっきり減りました。

さて、それでもまだまだ紙のチケットもまったくなくなったわけではありません。偽造は株主優待券だけに限らないと思いますので、みなさんもフリマアプリでチケット類を買う時は、どうかご注意を!同じ出品者が同じ(あるいは同じような)チケットをたくさん出品しているなどという場合は、かなり怪しそうです。