今このコラムを読んでくださっているみなさんは、もう自分で株を買ってみましたか?買ったら毎日株価が気になりますよね。ちょっと上がったら嬉しくなり、その後下がったら「あー!この前上がっているうちに売ったらよかった!」と悔しい気持ちになったりするのではないでしょうか。株価は波のように上下しますし、自分が波の一番底のタイミングで買えるということはまずありません。ですからたいていの場合、買ってからしばらくの間、株価は買値より上に行ったり下に行ったりすることになり、それを見ながら一喜一憂することになります。
最初から長期的に成長しそうな会社に長期投資するつもりなら日々の株価なんて見ないで、ほっておけばよいのです。成長株であれば波のように上下しながらもだんだん上がっていってくれるので、そのうち1年経ち、2年経てば、自分の買った値段より上のほうで波が上下するようになって気にならなくなります。人は得をするか損をするかの違いにはすごく敏感なのですが、得をしている金額が大きいのか小さいのかには案外鈍感なものです。(私だけかしら?)ところが、わかっていてもなかなか人間そんなことはできないのですよね。初めて買ったばかりの時はなおさらです。
外国の株式投資の格言で「株は買ったら株券を引出に入れて、買ったことを忘れなさい」というものがあります。(今は株券が電子化されているのでできませんが)
最近よく聞くのは投資運用会社のフィディリティが顧客の過去の運用成績を調査したところ、もっとも成績がよかったのは「亡くなった人」次に成績がよかったのは「運用していることを忘れている人」だったという話があります。やっぱりできるだけほっておくのがいいようですね。
私が以前読んだ本にもおもしろいエピソードがありました。ウォール街の敏腕トレーダーが自分の奥さんほうが運用成績がよいというのです。それでどんなすごいトレーダーの奥さんなのかと思いきや、奥さんは愛国心が強いので、社名に「アメリカ」とつく会社を片っ端から買っているだけという驚きの銘柄選択でした。ただそういう理由で買っているので買った会社は持ちっぱなしで売らないというのが勝因でした。(「ウォール街のモメンタムウォーカー」ゲイリー・アントナッチ)
アメリカは何十年も株式市場全体が右肩上がりで上昇し続けていますし、その本が書かれた当時は今より株式売買の手数料が高かったので、売ったり買ったりを繰り返すよりも持ちっぱなしにしておくほうがよかったということもあったのでしょう。
さて、というわけで理屈ではわかっていても、実際にはほったらかしにしておくのはやっぱり難しいですね。ここまで書いておきながら私もYAHOOファイナンスに登録している持株の株価は毎日チェックしてしまいます(笑)。
私の場合、個別株とは別にアメリカ株、日本株のインデックス投資信託(株式市場全体を買っているような投資信託)の積立もしていて、そちらはまさにほったらかしです。個別の株を定額で積み立てて買いつけていけるサービスを提供している証券会社もあります。そういう仕組みを取り入れるのもひとつの方法ですね。