投資コラム

稲さんのよもやま話【32】 クラウドファンディングで ものづくりの世界が変わる

私の若い頃には世の中にこんな仕組みなかったと思うもののひとつにクラウドファンディングというシステムがあります。インターネットのホームページ上に作りたいもののコンセプトを提示して、それに賛同してくれる人からお金を集め、そのお金でものづくりをするというスタイルです。

「アイデアはあるけれどお金がない!」という人のアイデアを実現できるすばらしいシステムですね。そのための場を設定することをビジネスにしている会社もいくつかあります。

私がネオモバイル証券で端株を5株だけ持っている(4479)マクアケもそんな会社です。最近はTVコマーシャルも積極的に行っているので名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。

衣類など比較的安価な製品で、出資した人には金額に応じて出来上がった製品をくれるという受注販売的な案件もありますので、もはやECショップで予約注文するのに近い感覚で利用できるものもあります。みなさんの中にも利用した人があるかもしれませんね。

さて、そんなクラウドファンディングが「がっちりマンデー」というTV番組で特集されていました。見ていて気づいたのは、最近はお金のない個人や小さな会社以外に大企業の多くがこのシステムを利用しているということ。

私がメーカーにいて新商品の開発に関わっていた頃は、社内でアイデアを出し合って新商品の案がいくつか出たら、市場調査会社にお願いして、お金をかけてアンケート調査などを行い、その結果を元に次は少量で製品化して一部の地域でテスト販売を行い、反応がよければ全国販売に踏み切るというような段取りを踏んでいました。一方クラウドファンディングの仕組みを利用すれば、作る前から全国の人たちの反応がわかり予約で受注できるようなものですから、大企業にもおおいにメリットはあります。作る前からアイデアをオープンにしてしまうので、ライバル会社がすぐ作れるものはリスクもありますが、自社独特の技術や設備などが活かせて、他社にすぐにはマネできないようなものであれば、このほうが大企業にとってもいい方法だなと感心しました。

30年以上前に企業で製品づくりに関わっていた身には、こんな方向からものづくりの世界は変わっていくのだな、としみじみと時代の流れを感じました。