投資コラム

稲さんのよもやま話【30】 FIREについて思うこと

FIREという言葉を最近よく耳にします。
中学生の人が英語で習うFIRE=火、キャンプファイヤーとかのファイヤーではなくって
Financial Independence(経済的な自立)Retire Early(早期退職)
の略ということで、私の場合は今すぐ仕事を辞めても全然Earlyじゃないので関係ないんですけど(笑)投資などでお金を貯めて、生活費を稼ぐために仕事をしなくてはならないという状態から解放され、早期退職するということですね。そういうタイトルの本が出版され、ちょっとしたブームになっているようです。
テレビでも特集として取り上げられていて、FIREを達成した人や目指している人が何人か出演されていました。中高生のみなさんも憧れるでしょうか?若いうちに時間の自由を手に入れられるというのは素敵ですね。ただ、テレビを見ていてちょっと気になったこともありました。特に若い人はFIREした後どう生きるかは大事なのではないかなと思いました。
人間それなりの年齢になるとそれぞれの職業や専業主婦であっても、何らかのベテランと呼ばれるようになることが多いです。で、何かのベテランになるにはそれなりにその道で多少の苦労もしながら積み上げていくものがあるわけで、そういうものを何も積み重ねないまま、誰でもすぐできるアルバイトのような仕事を少しだけして、余暇時間ものんびりするだけみたいな御隠居さんのような生活を30代ぐらいからしていたらどんな50代60代になるのでしょうか。歳をとってから何のベテランでもない自分に気づいて、寂しい思いをするなんてことにならないように、そこはちょっと気をつけた方がいいのではないかな、と。
遊びや趣味でもいいから、熱中して打ち込んで、その道では一家言あるという人になれるものが何かある方が充実した人生になるのではないでしょうか?人には承認欲求というものがあって、若い人たちから「すごい」と思われたり、自分でも「私はこの分野ではプロ」と思えるものが何かあったりするほうが、自信を持って人生を生きていけるように思います。好きで打ち込みたいものが仕事にはならないもので、それに思う存分打ち込める時間を作るためのFIREならいいんでしょうけどね。
それとFIREブームの裏側に会社員=会社の歯車、会社の奴隷、みたいな悪いイメージがあるようですが、自分の会社員時代を振り返っても、個人では会えなかったような有名人と仕事でご一緒させていただけたり、会社のお金で研修を受けさせてもらえたり、海外に出張に行かせてもらえたり、と会社員のメリットもいろいろありました。何にしても単純に決めつけず、自分が納得のいく人生を送れる道を探してほしいと思います。
あと種銭作りのための節約にはげみ過ぎて、自己投資にかけるお金をケチってしまうのもよくないですね。特に若い時は最大の投資先は「自分」だと思います。
そのテレビ番組には54歳?でFIREしたという方も出演されていて、こちらはちょい早めのリタイアですからあとはのんびりでもいいのかもしれませんけどね。もっとも私の若い頃は会社の定年は55歳で年金も55歳からもらえたんですけどね。今や55歳は早期退職なのかというのも驚きではあります。