投資コラム

稲さんのよもやま話【21】 自動車業界の「CASE」って何?

最近自動車業界では「CASE」という言葉がよく使われます。「Connected(コネクテッド)」「Autonomous(自動運転)」「Shared & Services(シェアリングとサービス)」「Electric(電動化)」の頭文字を合わせたもので、2016年にメルセデスベンツ社が自社の目指す方向性を示すために考え出して使い始めた用語ですが、それは自動車業界全体が目指す方向性でもあったため、今は広く一般的に使われるようになりました。

「Connected(コネクテッド)」は通信機能。今は車に限らずIoT(情報・通信機器だけでなく、様々なモノにインターネット接続や相互通信機能を持たせて自動制御、遠隔操作などを行う)化が進んでいますが、通信のクオリティが5Gで高まることに伴い、より車でできることの可能性が広がります。次の「Autonomous(自動運転)」もその最たるものでしょう。運転手がまったく不用な完全な「Autonomous(自動運転)」はすぐには実現できないと思いますが、衝突被害軽減自動ブレーキ、車線キープのステアリングアシストなどの運転支援システムはすでに実用化されています。

「Shared & Services(シェアリングとサービス)」は、車との新しい関わり方です。今までは車は買って所有して乗るものという考え方が基本でしたが、これからはカーシェアリングなど所有せずに必要な時だけ利用するスタイルが普及していくと考えられます。実際今は日本でも大学生の間ではTIMESのカーシェアサービスを利用する人が増えていると聞いたことがあります。特に公共交通機関が充実していて駐車場料金の高い都会では自動車を所有することはコストパフォーマンスが悪く贅沢な選択と言えるかもしれません。

「Electric(電動化)」はEV車です。これは脱炭素社会という環境問題対策と大きな関わりを持ちます。二酸化炭素を排出するガソリン車を完全になくしていこうという動きは世界で広まっており、日本でも経済産業省が国内で販売するすべての新車について、2030年代半ばに電気自動車(EV)やハイブリッド車(HV)などの電動車にして、ガソリンのみで動く自動車の販売をなくすことを目標に掲げています。

株式投資の世界でもこれらの動きに伴って関連する銘柄が動いています。たとえば、ガソリン車廃止のニュースが報道された日にはEV車のモーターを生産している(6594)日本電産の株価は大きく上がりました。
他にも影響を受ける会社はたくさんあります。このような大きな時代の変化の流れの中で、どのような会社が追い風を受けて業績を伸ばしていきそうか、想像を巡らせて調べてみるのも面白いのではないかと思います。