投資コラム

稲さんのよもやま話【4】お金の成る木を育てる

投資を考える時、時間はとても大切な要素です。
若い頃に本格的に投資の勉強をして、大きな資産が築けていれば、人生の選択肢が広がったかもしれません。
しかし私は、もうあと何年かで年金をもらう歳です。
ですから、残された時間で大きな資産を築くことは難しいでしょう。
また、今からの生活に1億円を超えるようなお金はなくてもいいと思っています。

億万長者という言葉があります。
〝1億円″というとすごい大金のようです。
でも、サラリーマンの生涯年収は2億円とも3億円とも言われていますから、
夫婦で今までにすでに2~3億円ぐらいはお給料をもらってきたとも言えます。

もし、今あなたが宝くじで1億円当たったら、もう一生遊んで暮らせるように思うかもしれません。
しかし残りの人生を50年とするなら、1億円を50年で割ったら200万円。
日本のサラリーマンの平均年収は441万円だそうですから、その半分以下です。
取り崩して使うだけなら、遊んで暮らせる額ではありません。

しかもこの先インフレでお金の価値が下がってしまうかもしれません。
インフレというのは一杯800円のラーメンが1000円出さないと食べられなくなるというように、
同じものを買うのによりたくさんのお金がいるようになるということです。
将来インフレになると、今の1億円の価値は1億円でなくなるのです。

ただ株式や不動産などで投資をすれば話は変わってきます。
もし1億円を毎年5%の利益が出るように運用することができれば、元の1億円は減らさずに、毎年500万円のお金が入ってくることになります。

人はどんなに大金を持っていても取り崩して減る一方だと不安になるものです。
私が「1億円もなくてもいいや」と思えるのは、今株式を中心に運用しているお金が配当金を生み出してくれているからです。
年金にその配当金を足せば、とりあえず一生生活に困ることはありません。

昨年金融庁が「老後の生活に2000万円必要」という試算を発表して世の中が大騒ぎになりました。
2000万円をそのまま取り崩すつもりなら20年で割ると年に100万円です。
もし90歳や100歳まで生きるなら、年間70万円や50万円になってしまいます。
国民年金でもらえるお金は年間で80万円もありません。
お給料をもらう仕事をしている人は、収入に応じて厚生年金がプラスされますが、国民年金しかもらえず投資もしていない人は逆に「2000万円で足りるのかな?」と心配になってしまいます。

もし、2000万円でも毎年5%利益が出るように運用できるなら、元本は減らさずに毎年100万円を生活費に回すことができます。
私はそういう配当金(や分配金や家賃など)が入ってくる資産を作ることを「お金の成る木」を育てることだと思っています。
リンゴの実を毎年収穫するように、お金の実が収穫できる私の果樹園を少しずつ大きくしているのです。

今は収穫した実を売ったお金でまた新しい木を少しずつ買い足している状態です。
時には実のなる木だけではなく若い苗木を買って大きく育てて、その木そのものを買った時より高く売ることもあります。
そのお金もまた新しい木を買うお金にします。
私の場合は果樹園作りを始めるのが遅かったのと、最初の規模が小さかったので、そこまで大きな果樹園にはなっていません。
しかし、なんとかこれからの生活を支えてくれるぐらいの実は収穫できるようになりました。

お金の成る木は、若いうちに作ると有効です。
投資は複利で回りますから、時間があればあるほど加速して大きく増やせます。
皆さんはたっぷりある時間を使って、食べきれないぐらい収穫できる大きな果樹園を作ってみてくださいね。